朗読を楽しむ
先日、朗読のライブに行ってきました。
私は物語りを読むことも好きですが、
誰かが語ってくれるのを聴くのも大好きです。
今回訪れたのはこちら。
箏の顛末
旅する芸術家 | gusuto de piro|松浦このみ Official Blog
松浦このみさんの朗読と琴演奏のコラボです。
第二部は恩田陸さんの「かたつむり注意報」という構成でした。
古典は朗読といった手法ととても相性がいいように思います。耳から入ってくることばやリズムがとても美しく心地よくひびきます。
ちょうど今年は松尾芭蕉にゆかりのある土地で暮らすことになったこともあり、自分史上、一番芭蕉に縁のある年になりました。ハードルが高いですが、また原文でも読んでみたいと思います。
そして、後半の「かたつむり注意報」は圧巻でした。どちらかというと怪奇譚の要素がある作品なので、すこし不思議な世界観です。
異国の石畳みが敷かれた街の風景。
そこに彼ら(巨大なかたつむり)がひたひたと迫ってくる様子。戦火に焼かれて背中の殻が熱せられて弾けていく瞬間を眼前に見ているような気がしました。
それにしても、人間の想像力というのは不思議な力ですね。
よく視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚といわれる五感の先に無意識という6番目の世界があるといわれます。
そして、仏教の教えでは更にその先に無意識の世界をつかさどる末那(まな)識、阿頼耶(あらや)識とよばれる世界があると聞いたことがあります。
その話しを思い出すたびに、私はヒマラヤの深い根雪のようなイメージを思い起こします。
過去世から行ってきたよい行いも悪い行いも、よい想念も悪い想念もすべて降り積もり根雪のように蓄積されている世界。
想像力というのもそうした引き出しから出てくるものなのでしょうか。自分の経験を超えたようなものを夢のように見るときにそんな思いがよぎります。
ライブが終わり一歩外に出ると、普段は訪れることのない渋谷の賑やかさが、また異世界のようでした。いつまでも余韻の残るライブでした。