心地よい暮らし。

50代突入。夫と二人暮らし。心地よい暮らしを模索中。

〈本〉 幸福とは負けないこと

 

 きっと幸せの朝がくる: 幸福とは負けないこと (潮文庫)

きっと幸せの朝がくる: 幸福とは負けないこと (潮文庫)

 

 

■数年前、NHK朝の連続テレビ小説「朝が来た」が放映され、初めて明治の女性実業家 広岡浅子の存在を知りました。

 

 当時、その原案者である古川智映子さんが広岡浅子を知ったきっかけについて、女性の人物事典の中のたった14行の紹介に興味を持ち、頼まれもしない小説をコツコツと書かれていたというエピソードも何度か耳にしていました。

 

 そのまま打ち忘れておりましたが、先日たまたま書店で目にし、古川さんの半生が書かれたこちらの作品を手にしました。

 

 まえがきには次のようにあります。

 そして、この一文に著者の結論があるように思います。

 

「懸命に生きてきたと思います。懸命とは、字の通り命を懸けて生きるということ
です。 人は誰でも幸福を求めています。 でもなかなか思い通りにならないのもまた人生です。 思い通りにならないからといって、生きることをやめるわけにはいきません。 それならば、粘り強く、 諦めずに自分の願いの実現に、つまり幸福になるために挑戦するしかありません。 幸せになった人、成功した人は、人に倍する苦労を重ねていると私は考えています。 この本の題名を『きっと幸せの朝がくる 幸福とは負けないこと』としました。 そうです。「負けない人生」、これがこの本のテーマに対する答えです。 人と争って負けないのではありません。 弱い心の自分、諦めそうになる自分、怠けそうになる自分、欠点は数え上げたらいろいろとあることでしょう。 最後は自分との闘い、そうした自分に負けない心、それが人生を大きく開くことになると信じています。
  きりりと居住まいを正して出発しましょう。 今日もまたがんばりましょう。(P6)」

 

 

■この本を読んで印象に残ったのは他者との関係の築き方でした。 

 

・人生は幸せと不幸の繰り返しと言えます。できるなら誰しも、運の悪い人生は歩みたくないと願います。 浅子のようにさらなるよい運を引き寄せるためにはどうしたらいいのでしょうか。
  正直に生きること、そして善業を積むこと、自分さえよければいいというエゴを排して、人や社会のために尽くすこと。すぐに結果が出ないときがあっても、人間として正しい生き方をしていれば、きっといいめぐり合わせになると信じたいものです。(P47)

 

・人を力づけるのは励ましです。そうであるならば、励まして、励まして、励まし抜きましょう。
 なんとかしてその人が立ち上がれるように、かつての自分の心の痛みを忘れずに、力のかぎり尽くしたいと思います。実は人に尽くしているように見えながら、これによって私自身が人生学を学び、成長させてもらっていると実感しているのです。自分が幸福になるためには、その前に人に尽くしましょう。自分のことを最優先させずに、人の痛みをわが痛みとして受け止める優しい心を持ちたいと思います。(P186)

 

 最近は断捨離が加速して、人間関係も断捨離することを勧めるような論調もしばしば目にするようになりました。確かに、人間関係に煩わしさはつきものです。それでも、そこまで割り切るのはちょっと寂しく思います。

 

 ちょっと古風にも思えるこうした考え方の中に、忘れかけていた大切なヒントをいただいたように思いました。