〈本〉「違うこと」をしないこと (吉本ばなな)
■「生きずらさ」を感じながら生きている人がきっと多いのでしょう。
私も同じです。
自分を正直にいきることは、いくつになってもなかなか難しいことですね。
自分の人生は、自分のものです。
どんな人であれ、自分そのものを生きることが大切。
そのためには、まず自分に正直であること。
そして、他人と正直にコミュニケーションすること。
結局はそれしかないんだってわかっていても、これが案外難しくて、振り返れば、私も失敗の連続でした。(P8)
■吉本ばななさんの本を読んだのは久しぶりです。確か、さくらももこさんの訃報がニュースになったころ、ばななさんの追悼のことばを読んだのがきっかけで時折ブログなどを読むようになりました。
■ばななさんが「キッチン」で世に出たころをリアルタイムで知っています。当時から、他の小説とはどこか違う印象を受けました。その印象を多くのひとが受けたので、あれだけのブームになったのでしょうか。
それをしいて言うならば、ほんとうの自分を生きていないと何かリセットされるような感覚。嘘をつけないというような不思議な感じといって伝わるでしょうか。
数十年たった今、同じような読後感を思い出しています。ずっと根っこにあるものが変わらないのでしょうね。
■自分を見失っている状態かをみきわめることについては、こう書かれています。
自分を納得させようとする時って、たいてい、本来の自分を見失っている。ごまかし続けていると、どんどん苦しくなるし、何かが立ち行かなくなったりする。本来の自分とズレてるから、それがちゃんと現実に反映されるわけです。(p10)
■本当の自分をいきるには、「違うこと」をしないこと。
・人は根本からは決して変わらないから、本来の自分を生きることが大切。
そして、人生はたぶん生まれた時の状態に意図的にだんだん戻っていく旅だと思うので、その人が本来の自分でいればいるほど、道は簡単になるんだと思う。(P12)
・じゃあ「違うことをしない」って、どういうことなんでしょうね。
「したいことをする」っていうのとすごく似てるけど、微妙に違うんですよ。言葉で説明するのがちょっと難しいのですが、ヘンに力が入ったり、ちょっとでも圧がある感じがあったら「あ、こういうことじゃないな」とおもってください。
もっとこう、流れみたいなものに乗っていく感じ。
イメージとしては、サーフィンに似てるかもしれない。(P16)
・大切なのは、自分にとってホントにダメだと思うことをしないでいること。
こればっかりは理屈じゃなくて体感だから、やってるうちにだんだんわかってくると思いますよ、その感じが。
とりあえず、「なんかいやだ」と思ったら、その感覚をスルーしないとかね。
大切なことです、とても。
たとえ微かな兆しでも、自分が「したくないこと」を受け流さない。「まあ、いいか」って安易に人に合わせない。妥協しないで実行することで、流れがちょっと変わる。(P16)
■過去の失敗から未来を推し量るのでなく、未来からの予感をキャッチする
大人になると、何かを決める時に、未来ではなく、過去の失敗で推し量ろうとする。過去に起こったことのせいで、今の自分があると思い込んでいる。過去はもう過ぎてしまったことで変えることはできないのに、それで未来が決まってしまうとしたら、生きている意味がしぼんでいく感じがしませんか。
川の流れを思い浮かべてみてください。
下流に向かってボールを投げても、ただ流れて、遠ざかっていくだけですよね。でも上流に向かってボールを投げれば、ボールが目の前に来た時にキャッチすることができる。「時間は未来から過去に向かって流れている」っていうのは、つまり、そういうことだと思うんです。(中略)未来に向かって、ボールを投げる。
そういう気持ちで生きれば、流れにちょっとでも気づくことができるんじゃないか。かすかな予感をつかまえる。流されない。そう決めるだけで変わってくるはず。子供の頃は、誰もがそういう気持ちで生きていた。過去の失敗で自分を推し量るより、その方がずっとワクワクするし、ずっと正確な気がするのです。(P146)
■正直なところ、本の中にあるスピリチュアルな部分は、私にはなじめませんでした。嫌悪感もありませんが、ひとそれぞれ辿り着く方法は違うのだろうという感じです。
■たいせつなこと。
・自分の心の声をきくこと。
・自分が感じる違和感をないがしろにしないこと。
・他人と正直にコミュニケーションをとること。